一級建築士事務所 田野
建築設計室

今年に入って、以前担当させていただいた建築のメンテナンスや小改修のご相談が続いている。
築19年になる木造の小さな住宅。担当案件ではありませんが、屋根とトップライトの断熱改修をはじめ、
建具の増設から日々の修繕、テーブル家具の改修までいつも声をかけて頂く。
建物の経年変化の場面に立ち合わせて頂けることに感謝。
5寸角の自立柱で支えられた連続する空間のすきまとズレが気積以上の広がりを見せる建築。
飴色に変化したラワン合板や骨格に経年による空間の深みを感じる。
その場所の環境に反応して美しい歳の取り方をする天然素材はとても正直な材料だと思う。
さて、今回はフローリングの一部を畳敷に改修する計画。
フローリングの目地に合わせて、目の細かい目積畳とし経年変化したフローリングと色合いを合わせるように畳を選定。
以前子供室だった部屋は、座室となって生まれ変わる。
19年の歳月は、当時幼稚園児だったお子さんが、いまや立派な社会人。
自身の時間とすり合わせると歳月の長さと短さが入り交じります。







畳採寸用の高度なレーザー寸取器。
それでも、従来の定規を使って何度も採寸してメモをこまめにとる職人の姿に
少なくとも建築の現場では機械と手仕事の共存はこれからも変わらずずっと続いていくと思う。
建築の遅さは可能性に満ちている。