一級建築士事務所 田野
建築設計室

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愛媛の旅  4


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内子


愛媛の旅。まだ2日目。
弓削神社を後にして、山を下り内子の街並みへ。
こちらは学生の頃一度訪れているので、20年ぶりの再訪。
蛇行する街道沿いに漆喰壁の街並みが連なる。淡く黄色を帯びた漆喰の壁、鏝絵、なまこ壁、石積、瓦屋根。
蝋燭と和紙で栄えた町の様相が、豪商の屋敷をはじめとした建築からも伺える。
実務を経て再訪すると学生の頃感じていたことと違った印象が入り込んでくる。
漆喰壁の分厚さからくる基礎や木枠などいわゆる取り合いと呼ばれる素材の接合部が興味深い。
石積の基礎や木土台よりも壁が分厚いこと、入口や窓など木枠よりも漆喰壁の方がふいてくること。
どの家も多くは壁の方が分厚いので取り合いの箇所で膨らみを帯びてアールに納めてある。
左官といえばコテ当てのための見切りやチリを考えるが、下地を積み重ねていくと壁が勝ってしまうので必然的に考案されたこの納まりが内子の街のスタンダードになり、独特の風景をつくり出している。
集落の風景を独自のものにしているのは、その場所の条件や歴史からくるその場所でのスタンダードが長い時間を経て淡々と息づいているからと教えられるのである。それは、条件が重なれば限りなく似ている風景が飛び火現象のように遠く離れた場所でも自然発生的に生まれることを示唆している。



内子
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