設計室の仕事 一覧へ
高槻の家
構造:木造 延床:116㎡(2LDK) 家族構成:4 施工:コアー建築工房
高台の住宅地に建つ木造住宅。
敷地は擁壁の上にあり、北側に起伏のある公園、東側に大きな調整池を見下ろす場所。公園風景を中心に周辺環境とどのように向き合うかを検討するにあたり、窓について思考を重ねた。絶景となる対象のない住宅地において、窓によって排他的に切り取られた風景を愛でるのではなく、窓からの風景が日々変化するその場所の日常風景として室内に入り込むことで、その場所に住むことへの愛着に繋がればと考えた。日々の暮らしを「安息の場所」とするために、公園に面して土間や階段室、カウンターなどの緩衝帯を挟んで、つかず離れずのほどよいプライバシーを担保した窓は、室内から外へ特権的に開かないように、公園側からの見え方にも配慮して屋根架構やレースカーテン越しに気配だけを伝える窓を目指した。
二階は主室となる屋根架構現しの一室空間。斜めに振った軒の深い切妻屋根によって必然的に軒高さが異なり、隣家との高さ関係を調整している。公園と道路側には下屋根となるボリュームをL型にまわすことでハイサイド窓が生まれ、道路側をピロティにすることで視線の抜けをつくり、公園側への圧迫感を緩和させた。結果、大きな一室空間に動きが生まれ、奥行きのある窓を点在させることに繋がっている。公園に開くことで北向きとなった主室は強い直射光の入らない、優しい順光で満たされた安息の場所となった。
設計室の仕事 一覧へ