設計室の仕事 一覧へ
長岡京乙訓の家
構造:木造 延床:166㎡ 家族構成:4人 施工:YAMASAKI
近代から現代にかけて、共に住むという概念は家族という単位を基本としながら歴史を作り上げてきた背景がある。現代に入り、次第にシェハウスなど親しい仲間同士が集まって住むという、家族単位の拡充が自然の流れで広がっている。誰と住むかはもっと自由であり、寄り添って生きていくことに本来縛りはないものである。もし、単位があるとすれば、寄り添って生きていくその仲間がひとつの家族である。この住まいは、シェアハウスの概念を持ちながら、共に生きていく仲間が集まり、犬や猫も一緒になってみんなで暮らしていく多様な家族の住まいである。シェアハウスと言っても、ある家族の住まいであることに何か特別なことはなく、それぞれが程よい距離感を持ちながら、時に寄り添いながら楽しく暮らし、時に独りになり思いに耽るための器となる。
敷地は建蔽率40%の景観地区にあり、隣家間隔が十分に確保されることで、家と庭の関係性が必然的に生まれる地域になる。敷地に対してL型配置をとり、南側にまとまった庭をとる。隣地からの壁面後退を利用して、建物横から緩やかなスロープを設けてアプローチする。玄関土間を入ると対角線の抜けを設けて、奥に広がる主室の気配を感じられるようにした。ゆとりのあるホールや間室など、単なる動線とならないように廊下のスケールを拡張して、そこで何か生まれるようなあいまいなスペースで数珠繋ぎしていく。主室は平屋とし、おおらかな木架構の下に集まれる場所としている。三角形の妻側からハイサイドライトの順光の明かりを取り込み、南庭に向かって、二重垂木の低く抑えた軒下テラスを設けることで、日射のコントロールを行う。主室には家族である猫の動線が立体的に展開しており、猫のための二方向動線を確保し、また逃げ込めるトンネルで二階の主の部屋へと繋がるようにしている。南庭は透きのある木々で雑木をつくり、グランドカバーを敷き込むことでドックランとなっている。玄関土間からホール、間室、主室など一階全ての床をコンクリート土間とし、全面にスラブ暖房を敷設することで、家族全員(人、犬、猫)が気兼ねなく、おおらかに使い込んでもらえるように配慮した。
様々な要素を淘汰せず許容しながら均衡する建築の在り方を常に意識している。多種多様な木材、様々な素材や色の掛け合い、あいまいなものをあいまいなまま担保していく間取りと空間。住まわれる家族のかたちも色々あっても良い。ごった煮のような関係性で建築を取り巻く状況を作り上げていきたいと思っている。人も犬も猫もみんな寄り添って生きていく、ごく自然でおおらかな住まいにこれからも成長し続けてくれることを願っている。
設計室の仕事 一覧へ