愛媛の旅 7
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愛媛の旅。
やっと、最後。
リアルタイムで感じたことと、思い返して見えてくることがあるように思う。
帰りはしまなみ海道から帰路を目指す。
海道を行く前に、今治港近くから船で渡る小島を再訪する。戦前、島全体が芸予要塞と呼ばれる軍事施設が建設されたが、戦争で一度も使われることなく終戦を迎え、訓練砲撃で一部が崩壊された以外は今も当時の姿のまま残っている戦争遺産。
本来、敵に見つからないように建設されているがゆえ、山肌を削るように自然に埋没している建築。時が経ち、より自然と一体化した建築は戦争遺産という負の要素ながら自然との共生をありのまま体現している。強固につくる必要性からコンクリート、石、レンガを主材料に用いた建築は、西洋の建築がもつプロポ―チョンやセオリーを丁寧に踏襲している。和がもつ屋根の建築ではなく、壁の建築。戦争という必要にせまった状況ではあったが、アーチや開口部、石積といった要素にどこか美しいプロポーションやデザインが息づいている。西洋の歴史の深さと、建設した当時の設計士の力量を感じる。
島全体に点在している要塞跡は野山を散策するように静かに出会う。自然の一部として自覚をもった物静かな建築群は、木々と寄り添いながら今も生き続けている。
しまなみの海には、人も風景も瀬戸内特有の穏やかさを感じる。
しまなみ海道ができ観光客が増え、両側面の良しあしもあるとのこと。
青い空と海にさわやかなで穏やかな空気感と、夕暮れ時、茜色の空と海に旅の最後を思いながら少しの哀愁を感じる。
旅を締めくくる穏やかな風景。